2011年1月20日木曜日

ブラウリンゲン聖教共同体

・ブラウリンゲン聖教共同体


 教会合議制
 国歌:絶えぬ信仰と朽ちぬ剣
 通貨:リンゲンクラーネ(BK)





西ディルタニア圏と中央ディルタニア圏の境界部に位置する小国。深い森と雪に囲まれ、国民は信仰を以って厳しい環境を生き抜いてきた。首都はエアシュテーウング。
交通の要衝シュネリゼ回廊を塞ぐ形で存在するため、近代まで北ディルタニア系諸民族の侵入を数多く経験する。
国家元首にラヴィーネ教の教王を戴き政祭一致体制を敷く。現在の国家元首はジークリット・アイヒホルン・アードルング女教王。
国民は労働・軍役・信仰、そして幸福を義務とされる。国内戦を考慮した都市設計、規格化住宅は独特の景観を生み出し「ブラウ様式」として有名。
国民の銃所有率はウィルバー合衆国やシェイフィナリアに肉迫するが、弾薬類は教会の厳重管理下にあるため銃犯罪は極端に少ないという特徴を持つ。
主な産業は鉱業。中世から銀とコバルトの一大採掘地として知られ、近代に入ってからはタングステン等の採掘も行われている。
リルバーン文化圏に属し、共通した文化的特徴を多く有するものの、地政学的な理由、またこの地で古くから信仰されるラヴィーネ教や襲来する中央ディルタニア民族などの影響もあり、他の西ディルタニア諸国とは一線を画した独特な文化を持つ。
主な主食は大麦やライ麦。ラヴィーネ教会が飲酒に寛容な事からアルコール飲料も発達した。平均気温が低く積雪量も多い為、あまり耕作に適した土地では無い。北西部に位置する藍海からとられた魚介物は貴重な食物として重宝されてきた。
 

・地理
北西部の藍海、東部に位置しディルタニア大陸を大きく分断するディルタニア山脈の狭間に位置する。この地は北ディルタニア回廊と呼ばれ、中央ディルタニアと西ディルタニアに陸続きで接続する数少ない交通路として機能してきた。
中央の交易都市ヴォール、北西部の港湾都市フェアズィンケンが経済の中枢となる。政府機能はディルタニア山脈の西端、ヴァントヘルス山(標高5,137m)の山麓に位置するエアシュテーウングに集中する。ラヴィーネ教の総本山でもあるこの地は天然の要害として数多くの戦乱の舞台となった。
国境を画定する北端のゲーグナーウーフス川に設置された城郭群は中世北ディルタニア文化を今も色濃く残す遺構として現在は観光地として人気。一部は現在も軍事目的で利用されているとか。
数少ない農業地帯を擁する南部クンフトゼーゲンの麦畑に囲まれた司教堂、現在も最高政庁として機能するエアシュテーウング教主城等、その質実剛健の気風を伝える建築物の作る荘厳な空間の虜になる旅行客は多い。
 

・政治
ラヴィーネ教の教王を頂点に置き、枢密院、司祭会議によって運営される。監察機関として聖徒輔祭院を持つ。
代々鎖国主義、管理経済主義を主軸に国家運営を行ってきた聖教共同体だが、現在のジークリット女教王が即位してからは彼女の主導の下社会の開放、経済の自由化が進んでいる。
しかし、保守勢力が現在の施政に不満を抱えているのは事実であり、開放主義を支持する聖徒輔祭院との対立が続いている。
地方政治は教区司教の責任の下、教区司祭会議が運営する。エアシュテーウングの王都司教座、ヴォールやフェアズィンケン等の大司教座は国政への大きな発言権をも有する。
 

・住民
リルタニア人の殖民司教座として誕生した事もあり、リルタニア系が多数を占める。中央ディルタニアのヴァリニリア人やヤード人の流入も小規模ながら史書等から確認でき、彼らはラヴィーネ教の信仰を条件に手厚く保護されたという。
白く透き通った肌と美しい金色の髪はこの地の民の誇りであったと共に、その美しい姿は中央ディルタニアの征服者に奴隷として酷使される原因にもなった。
 

・国防
教会奉仕軍の陸海空軍、国内軍、王立近衛隊を擁する。有事の際は教会奉仕軍、国内軍の混成によって教会軍を形成。

・教会奉仕陸軍
国内では「正規軍」と呼称される聖教共同体の基幹国防組織。基本戦力単位は連隊。現在の最高指導者はエムデンブルク大司教ベアトリーセ・バーデ・アイブリンガー大将。
連隊は各司教座でそれぞれ1個ないし2個編成され、司教は自らの司教座連隊を指揮する。
この司教指揮権は正規の職業軍人に委任の形で移行する事もあるが、聖職者に伝統的に軍事的才能を求めてきたラヴィーネ教においては、有事においても連隊指揮を行う(少なくとも平時においてそう宣言している)司教は多い。
これらの司教座連隊を構成するのは、教区司祭の募兵に応じて兵役に就く者、満22歳以上でかつ兵役を経験しておらず抽選で徴兵された者、満2年の兵役を終えた後も奉仕軍に残り職業軍人化した者である。聖職者は兵役免除を受ける権利を有するが、軍での奉仕を義務付ける司教座も存在し、また自発的に軍に入営する者も少なくない。
有事の際はこれらの司教座連隊と後述する国内軍部隊の混成による「教会軍」を編成する。教会軍は毎年度更新される「守護王勅」に則って配置され、国防に従事する事となる。
基本的には要塞線や各抵抗拠点に拠り、持久戦を展開する。冬季戦技に長けた者が多く、また実戦経験を持つ兵士もいまだ数多く存在する為、戦力としての価値はその近代国家らしからぬ組織とは反して高い。
補給の観点から見ていわゆる西側諸国の兵器を採用する。森林や冠雪地での機動性を重視し、軽量なモノを好む。
普段は狩人として生計を立てている者が多いため、軍部はスカウトスナイパーの養成に力を入れている。
 

・教会奉仕海空軍
基本的な組織は陸軍と変わらないが、国内軍との混成はされず単独で運用される。基本単位は陸軍が連隊であるのに対して、空軍は航空師団、海軍は戦隊。空軍の最高指導者はヴォルフェンビュッテル大司教ヨハネス・ビンダーナーゲル大将。海軍はフェアズィンケン大司教ゼバスティアン・テオバルト・ダールグリュン大将。
空軍はSTOL能力を重視した機体を多く保有。山中に設けられた航空基地に分散して配備され、敵軍の第一撃を凌いだ後に地上軍を支援する。基本的に陸空共同戦を志向。
海軍は領海防衛の為、旧式のフリゲート・駆逐艦を保有。装備の旧式化が著しく、可及的速やかな更新が必要。

・国内軍
国の定めた軍役期間を満了した国民が登録され、有事の際動員され奉仕陸軍の支援に回る他、災害時の救助活動や治安維持に活躍する。最高指導者はヘクトール・ベルトホルト・クレヴィング副教王。国内軍退役は40歳。これを以って法的な軍役義務からは解放される。
家毎に小火器を、地域毎に重火器・兵站備品等を管理し有事に備える。国民が生活する街は十字砲火、遅延戦闘、敵の拘束等を考慮して設計されており、その街並みは独特の景観を生み出した。
 
・王立近衛隊